中村・澤村法律事務所

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コラム2021年0322

名言紹介(1)「徳川家康」

 私は昔から古今東西の名言・格言等に触れるのが好きなのですが、今でも時々それらを思い出してはいろいろな示唆を受けることが多いです。
 そこで特に印象に残っているものを、思いつくままにご紹介していきたいと思います。

 第1回目は江戸幕府初代将軍:徳川家康の言葉です。
「人の一生は重荷を負ふて遠き道を行くが如(ごと)し。急ぐべからず。不自由を常と思へば、不足なし。心に望み起こらば、困窮したる時を思ひ出すべし。堪忍は無事長久(ぶじちょうきゅう)の基(もと)。怒りは敵と思へ。勝つ事ばかり知りて負くることを知らざれば、害その身に至る。おのれを責めて、人を責むるな。及ばざるは過ぎたるに勝れり。」

 意訳すると「人の一生は重荷を背負って、長い道を歩いて行くようなものである。急いではいけない。不自由であることが通常の状態だと思えば、不満は感じない。心に過剰な欲求が湧き起こったときは、1番苦しくて困っていたときを思い出せ。耐え忍ぶ心は長く無事を続けていくもとになる。怒りは敵と思え。勝つことばかり知って負けることを知らなければ、打たれ弱くなって初めての挫折ですぐにつぶれてしまう。自分を責めて、他人を責めるな。過剰であるよりは足りないくらいの方がよい。」といった所でしょうか。

 家康は幼少期には織田家や今川家の人質として不遇の時代を長く過ごし、成人してからは織田信長と同盟関係を結んだものの実質的には臣下(子分)のような関係で、危険な戦地に何度も送り込まれたことは勿論、信長の命令により実の息子(松平信康)を切腹させる悲劇にまで見舞われています(実は、切腹の経緯については諸説あるようですが。)。
 その他にも武田信玄との戦いで大敗して死の一歩手前まで追いつめられるなど数々の挫折を経験しますが、そういう挫折に屈することなく逆にそれも力に変えて、焦らずに一歩ずつ前進を続け、ついには天下を取るまでに至ったわけです。

 ところで、ここまで言っておいていきなり冷や水を浴びせるようですが、家康本人の言葉であったかどうか自体にも諸説あるようです。
 ううむ・・・
 まあしかし、いかにも家康の一生から垣間見える不撓不屈の精神が上記言葉にはよく表れていると感じるので、余人の言葉だとしてもやっぱり名言だなあと私は思うのです。

(文責:弁護士 澤村康治)
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